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翌週のこと、清久と筒井は
いつものごとく図書室のカウンターに居る。
“暗証番号”の候補はいくつか集まったが
どれも確実ではない。
動くのは時期尚早。
その時、梨花が現れる。
「キヨ、いつもの頂戴〜」
「バーじゃないんだぞ」
数学ノートを渡すと
珍しく梨花はため息をついた。
「どうした?
その宿題じゃ不満か? 」
「芹沢センセのせいじゃないよ。
来週、補習があってね。
赤点取っちゃったから」
「え……? 」
「あーあ、メンド……。
早く帰りたかっ」
「それ、何時までやんの?」
突然に質問され、梨花の方が怯んだ、
「課題がちゃんと終わるまでだけど……。
何で? 」
「いや……」
清久の脳内物質が激しく駆け巡る。
「じゃ、また来週ね〜」
梨花は釈然としない面持ちで
図書室を去って行った。
同じ様な顔をした筒井がこちらを向く。
「ココだ」
「え? 」
「暗証番号を攻略するなら来週しか無い」
そう言って清久は机に力強く叩きつける。
おそらく最後になるであろう、
梨花の宿題を。
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