Chapter.1

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【03】  いつもはカウンターに向けている椅子も 今日だけは横に向かせている。 清久は窓の外を眺めながら ケータイからの応答を待っていた。 作戦はこうだ。 清久は図書室から 梨花の補習している教室を監視。 運良く、校舎はコの字型なので とても見やすい。 現場、 つまりロッカーには筒井を行かせる。 梨花が補習を終え、 清久からノートを受け取るまでが 彼女に許された“活動時間”だ。 二人のケータイは通話状態で繋がれている。 いつかの“尾行”の時と同じだ。 その時、懐のケータイから声が聞こえる。 《こちら、筒井。五十嵐先輩は? 》 「大丈夫、補講の教室に入った。 ロッカーに移動してくれ」 《了解です》 そしてガサゴソと 筒井が歩いている音が聞こえる。 それにしても…… 清久は今更ながらに思う。 なぜ彼女は ココまで協力してくれるのだろう。 今回の作戦でも “現場行き”を自ら立候補してくれた。 そんな思考の答えが出る前に 彼女の声が聞こえる。 《こちら筒井です。 ロッカーに着きました。どうぞ》 「了解。作戦に移行してくれ」 “頼んだぞ、筒井”
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