Chapter.1

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虚空を見つめようとしたその時、 カウンターに人影が現れる。 「おまたせ~、宿題終わった〜? 」 梨花……!? ハッと窓の外を見ると 補講の教室の電気が消えていた。 暗証番号への思考に夢中になっていて 監視を怠ってしまったらしい。 「ね〜え〜、 まだ終わってないの〜? 」 「いや、終わったけど……」 予想外の事態によって 清久は完全に受動的になってしまう。 いつの間にか、数学ノートは 彼女の手に渡っていた。 「サンキュー! 今日も芹沢センセは快調だね〜」 「その呼び方やめろよな……」 ツッコみながらも 清久の脳内では緊急事態を告げている。 まずい、 このままロッカールームへ行ったら 梨花と筒井が遭遇してしまう。 「なあ、梨花……」 「ん? 」 引き留める為だけに呼んだが 内容までは考え至ってなかった。 清久は乾いた唇を舐める。 「なに? やっぱりまだ宿題終わっ……」 「何でオレの漫画ずっと持ってんだ? 」 苦し紛れの質問。 しかし、意外にも 梨花は笑ったりしなかった。
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