4人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
清久は図書室を飛び出す。
ロッカールームは図書室の下の階、
コの字型校舎なので
反対側に行けば梨花が見えるのだ。
息を切らしながら見ると
梨花は3階の
自分の教室に入っていく所だった。
「筒井、梨花はいま3階だっ!
教室に入ったから少し余裕があるぞっ!」
《了解!なんとかやってみせます!》
スマホからカチカチと
ロッカーのダイヤルをイジる音が聞こえる。
しかし、梨花は
一体何番に設定しているのか……
矢継ぎ早に案を出してる間に
梨花は教室を出てしまった。
ロッカールームへ行くまで
そう時間は掛からない。
「梨花が教室を出た!
あと数分しか無いぞっ! 」
《何か無いですか!?
お願い、何か思い出して……》
筒井の切羽詰まった声がする。
その時、不意に梨花の声が
脳裏に聞こえた。
──アンタの絵が好きだった、
って言ったら?
「2805……」
《え……? 》
《2805だ!もうそれし……》
その時、司書の先生が顔を出す。
「足立くん!
図書室のカウンターはどうしたの!?
人が待ってるわよっ!」
清久は慌ててカウンターへ戻る。
応対している間も
筒井の事が気にかかる。
果たしてロッカーは開いただろうか。
それとも
梨花に見つかってしまっただろうか。
スマホの通話もいつの間にか切れていた。
最初のコメントを投稿しよう!