Chapter.1

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清久は図書室を飛び出す。 ロッカールームは図書室の下の階、 コの字型校舎なので 反対側に行けば梨花が見えるのだ。 息を切らしながら見ると 梨花は3階の 自分の教室に入っていく所だった。 「筒井、梨花はいま3階だっ! 教室に入ったから少し余裕があるぞっ!」 《了解!なんとかやってみせます!》 スマホからカチカチと ロッカーのダイヤルをイジる音が聞こえる。 しかし、梨花は 一体何番に設定しているのか…… 矢継ぎ早に案を出してる間に 梨花は教室を出てしまった。 ロッカールームへ行くまで そう時間は掛からない。 「梨花が教室を出た! あと数分しか無いぞっ! 」 《何か無いですか!? お願い、何か思い出して……》 筒井の切羽詰まった声がする。 その時、不意に梨花の声が 脳裏に聞こえた。 ──アンタの絵が好きだった、 って言ったら? 「2805……」 《え……? 》 《2805だ!もうそれし……》 その時、司書の先生が顔を出す。 「足立くん! 図書室のカウンターはどうしたの!? 人が待ってるわよっ!」 清久は慌ててカウンターへ戻る。 応対している間も 筒井の事が気にかかる。 果たしてロッカーは開いただろうか。 それとも 梨花に見つかってしまっただろうか。 スマホの通話もいつの間にか切れていた。
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