Chapter.1

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カウンターに集まった人を捌き また図書室を出ようとした時、 戸口に人影が現れる。 筒井。 壁に手を当て うつむきながら肩で息をしている。 そして彼女の顔が上がった。 「ミッション、コンプリートです」  彼女の傍らには 桃色のノートが抱えられていた。 図書委員の仕事が終わり 二人は裏庭に来ていた。 そこには長く使われていない 焼却炉があるのだ。 「なあ、 これって動かしていいものなのか?」 「まぁ駄目でしょうね」 そう言いながら筒井は点火する。 暫くして煙を履きながら 焼却炉が明るく点灯した。 「さあ、終わりにしましょう」 「あぁ……」 言いながら 清久はピンク色のノートを見つめる。 そのまま見つめた後、 光の中へ放った。 ノートは暫く原型を維持していたが ついに明るく燃え始める。 清久の“過去”が光と共に消える。 「……終わりましたね」 「ああ……」 二人は炎を見つめていた。 全てが焼き尽くされるまで。
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