4人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
【04】
翌週、梨花が当たり前の様に現れた。
「キヨ〜?いつもの持って来た〜? 」
日常を疑わない顔。
しかし、今日はいつもと違う。
ノートを受け取った彼女は
さっそくパラパラとめくって目を見開いた。
「あれ?……あれ!?
ねえ、真っ白なんだけど!? 」
「悪いな、忘れちまった」
「あーあ、そういう事やるんだ〜。
へぇ〜? 」
梨花はニヤニヤしながらカバンから
ピンク色のノートを取り出す。
「隣の後輩の娘、筒井ちゃんだっけ?
ねぇねぇ、
おもしろい物見たくない? 」
そして勢いよくノートを開いた。
「見てこれ、キヨが描い……
あれ!?真っ白!? 」
「ノートがどうかしたんですか? 」
「ウソ……、何で、何で……? 」
梨花は何度も何度もノートを見返す。
隣で筒井が笑いを噛み殺していた。
「よお、早く
宿題やった方が良いんじゃないか? 」
「キヨ〜〜〜〜」
梨花は涙目で睨んできたが
埒が明かない事を察したのか
憤然とした足取りで図書室を出て行く。
「宿題、間に合うんですかね? 」
「無理。
オレでも2日は掛かったから」
清久と筒井は笑い合う。
こうして清久の“黒歴史”は
文字通り、白紙へと変えられたのであった。
最初のコメントを投稿しよう!