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家に帰り、清久はふと思い出す。
“2805”
梨花の使っていた暗証番号は、
『エンジェル・ゲート』の
クライマックスで
使われた数字と同じなのだ。
──アンタの絵が好きだった、
って言ったら?
あの言葉は
まんざら嘘でも無かったのかもしれない。
その時、家のチャイムが鳴る。
そこには梨花が立っていた。
彼女は唇を噛みながら聞いてくる。
「キヨ、あのさ……」
「宿題終わらないんだろ? 」
梨花の顔が上がる。
「半分なら手伝ってやるよ」
目を見開いた梨花は
輝かんばかりの笑顔になる。
二人の間には
何か暖かい物が流れていた。
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家に着いた筒井美香は
ベットに腰掛け、大きなタメ息をついた。
ここ最近は
とてもとてもエキサイティングだった。
限られた時間内で思考に思考を重ね、
ロッカーの暗証番号を考える
あのヒリついた感覚。
あんな緊張感、
なかなか味わえないだろう。
しかも今作戦には“副産物”もある。
美香はカバンに手を伸ばし
桃色のノートを開く。
『エンジェル・ノート』
燃やす前に中身を確認しないなんて
清久先輩も詰めが甘い。
美香はパラパラとめくりながら微笑む。
「これからよろしくね、芹沢センセ」
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