Chapter.1

19/19

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
…………………………………………………… 家に帰り、清久はふと思い出す。 “2805” 梨花の使っていた暗証番号は、 『エンジェル・ゲート』の クライマックスで 使われた数字と同じなのだ。 ──アンタの絵が好きだった、 って言ったら? あの言葉は まんざら嘘でも無かったのかもしれない。 その時、家のチャイムが鳴る。 そこには梨花が立っていた。 彼女は唇を噛みながら聞いてくる。 「キヨ、あのさ……」 「宿題終わらないんだろ? 」 梨花の顔が上がる。 「半分なら手伝ってやるよ」 目を見開いた梨花は 輝かんばかりの笑顔になる。 二人の間には 何か暖かい物が流れていた。 …………………………………………………… 家に着いた筒井美香は ベットに腰掛け、大きなタメ息をついた。 ここ最近は とてもとてもエキサイティングだった。 限られた時間内で思考に思考を重ね、 ロッカーの暗証番号を考える あのヒリついた感覚。 あんな緊張感、 なかなか味わえないだろう。 しかも今作戦には“副産物”もある。 美香はカバンに手を伸ばし 桃色のノートを開く。 『エンジェル・ノート』 燃やす前に中身を確認しないなんて 清久先輩も詰めが甘い。 美香はパラパラとめくりながら微笑む。 「これからよろしくね、芹沢センセ」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加