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「サンキュー!キヨは頭良いね〜! 」
今さら白々しい。
「貰ったら早く行けよ」
「えー!冷た〜い」
静かな図書室において
梨花の存在は場違いそのものだった。
その時、耳元に顔を寄せてくる。
「またよろしくね、芹沢センセ」
「おま……」
反論する間も与えず、
梨花は嵐のように去っていった。
清久は頬杖をつきながら
何度となくした後悔を繰り返す。
なぜ、あの時
ちゃんと始末しなかったんだろう、と。
“受け渡し”が終わり、
大きくため息をついていると
カウンターに人が現れた。
「先輩、遅れました……」
筒井美香[つつい みか]だった。
一つ下の後輩で
彼女も図書委員に所属している。
シフトの関係で相方になる事が多い。
筒井は首を横に傾ける。
「今日もあの人来たんですか?」
「今さっきな」
水曜日の恒例なので
筒井も梨花の事は知っている。
「私が口出しする事では無いですけど、
こんな事止めた方が良いですよ」
筒井は隣に座りながら唇を尖らせた。
丸眼鏡の奥で眉毛も釣り上がっている。
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