Chapter.1

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「サンキュー!キヨは頭良いね〜! 」 今さら白々しい。 「貰ったら早く行けよ」 「えー!冷た〜い」 静かな図書室において 梨花の存在は場違いそのものだった。 その時、耳元に顔を寄せてくる。 「またよろしくね、芹沢センセ」 「おま……」 反論する間も与えず、 梨花は嵐のように去っていった。 清久は頬杖をつきながら 何度となくした後悔を繰り返す。 なぜ、あの時 ちゃんと始末しなかったんだろう、と。 “受け渡し”が終わり、 大きくため息をついていると カウンターに人が現れた。 「先輩、遅れました……」 筒井美香[つつい みか]だった。 一つ下の後輩で 彼女も図書委員に所属している。 シフトの関係で相方になる事が多い。 筒井は首を横に傾ける。 「今日もあの人来たんですか?」 「今さっきな」 水曜日の恒例なので 筒井も梨花の事は知っている。 「私が口出しする事では無いですけど、 こんな事止めた方が良いですよ」 筒井は隣に座りながら唇を尖らせた。 丸眼鏡の奥で眉毛も釣り上がっている。
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