Chapter.1

5/19

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
ある日の学校帰り、家の前に梨花が居た。 玄関に腰掛けていた彼女は 清久の姿を見ると嬉しそうに立ち上がると ノートを開いて見せてくる。 「ねぇねぇ、コレ見て? 」 清久は目を大きく見開いた。 『エンジェル・ゲート』 なぜ梨花が……!? 彼女はニヤニヤしながら口を開いた。 「毎週木曜日さ〜、 数学の宿題出るんだよね。 アタシ数学大嫌いなのに 入川[いりかわ]先の奴、 急に授業中当ててくるじゃん。 だから〜、お願い、芹沢センセ」 それ以来、清久は 『エンジェル・ゲート』を武器に 数学の宿題をやらされているのだ。 受け渡し場所は図書室で、 かれこれ一年くらい経つだろうか。 「オレの“黒歴史”を握られてんだよ」 「今、そのノートは……? 」 「まだアイツが持ってる。 どこにあるかは知らないけど」 その時、カウンターに人が来たので 話しは一旦中断される。 本を返すだけだったので数分で終わった。 「あの、差し出がましい かもしれないんですけど……」 暫く黙りこくっていた筒井が口を開く。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加