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ある日の学校帰り、家の前に梨花が居た。
玄関に腰掛けていた彼女は
清久の姿を見ると嬉しそうに立ち上がると
ノートを開いて見せてくる。
「ねぇねぇ、コレ見て? 」
清久は目を大きく見開いた。
『エンジェル・ゲート』
なぜ梨花が……!?
彼女はニヤニヤしながら口を開いた。
「毎週木曜日さ〜、
数学の宿題出るんだよね。
アタシ数学大嫌いなのに
入川[いりかわ]先の奴、
急に授業中当ててくるじゃん。
だから〜、お願い、芹沢センセ」
それ以来、清久は
『エンジェル・ゲート』を武器に
数学の宿題をやらされているのだ。
受け渡し場所は図書室で、
かれこれ一年くらい経つだろうか。
「オレの“黒歴史”を握られてんだよ」
「今、そのノートは……? 」
「まだアイツが持ってる。
どこにあるかは知らないけど」
その時、カウンターに人が来たので
話しは一旦中断される。
本を返すだけだったので数分で終わった。
「あの、差し出がましい
かもしれないんですけど……」
暫く黙りこくっていた筒井が口を開く。
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