Chapter.1

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「その“黒”、白くしてやりません? 」 「え? 」 「そんなノート、始末しましょうよ 」 「そりゃそうしたいけど……」 「私にも先輩の気持ちは分かるんです」 「え……? 」 「私もネット上で小説を書いてまして 一回、 アカウントが同級生にバレた事があります」 筒井は膝の上でこぶしを握る。 「周りからからかわれて 馬鹿にしてくる娘も居ました。 恥ずかしかった、悔しかった、 あんな思い二度としたくない……」 彼女の瞳が揺れながらこちらへ向いた。 「だから先輩を助けたいんです、私」 「筒井……」 清久の胸で温かいものがこみ上げていた。 「でも、すぐにとは行きません。 出来る限り協力しますよ」  「ありがとう……」 彼女もまた 同じ痛みを知ってる者だと分かり 仲間意識が湧いていた。 それだけで嬉しかった。 筒井は立ち上がる。 「じゃ、私は書架の整理に行ってきますね」 「あぁ……」 カウンターから数歩離れたところで 立ち止まり、こちらを向いた。 「……稲妻奏[いなずま かなで]」 「え? 」 「私のペンネーム。 今でも書いてるんですよ、実は」 笑顔で告げると、 スキップの様な足取りで離れていった。
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