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【02】
翌週、清久は
例のごとく図書室のカウンタ―にいた。
そこへいつもの様に梨花が現れる。
「ヤッホー、今日も持ってきた〜? 」
「……ほらよ」
「いつも助かる〜」
そう言って彼女は
ご機嫌な足取りで図書室を出て行った。
それが“撒き餌”とも知らずに。
清久は、自分の胸ポケットに向かって
小声で話し掛ける。
「梨花が来た。図書室を出て行くところ」
そこにはスマホが入っていて
筒井と通話した状態で維持されている。
《了解です》
彼女の応答した後は
ゴソゴソとした音が聞こえてきた。
清久の“黒歴史”を葬る為には
まず梨花がノートをどこにしまっているか
探らなければならない。
そこで、面が割れていない筒井に
尾行を頼んだのだ。
梨花は、
清久がサボタージュする可能性を考慮して
ノートをカバンに忍ばせているはずだ。
少しして筒井から応答が入る。
《こちら筒井。
現在、五十嵐先輩は2階へ移動中。
どうぞ〜》
「……なんか無線機みたいだな」
《一回やってみたかったんです、コレ!
どうぞ〜》
彼女は意外と楽しそうだ。
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