Chapter.1

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《五十嵐先輩、3階まで移動。 どこへ行くんですかね……? 》 「うーん……」 清久は虚空を見つめる。 「自分のクラスじゃないかな、 忘れ物かもしれない」 《あ、ホントだ! 教室へ入って行きましたよ》 梨花は自分の机から巾着袋を取ると そのまま教室を出て来たらしい。 カバンを開いていないので 彼女はまだノートを持っている。 《今度は下り始めました》 ココで清久は嫌な予想が立つ。 もしかして 梨花はこのまま帰る気だろうか…… 『エンジェル・ゲート』は普段、 家に保管していて 水曜日のこの時だけ持って来る。 そんな鉄壁の防御を敷いていたら 手を出すのがかなり難しい。 しかし、筒井の声が希望を生んだ。 《階段を降りた後は右に移動。どうぞ〜》 この高校の昇降口は 階段降りて直進した先にある。 直帰では無いらしい。 《五十嵐先輩、学生ロッカーに移動。 あ、カバンを開いてます! 》 学生ロッカーとは、 個人ロッカ―の集まったスペースで 学生一人につき一つ割り当てられている。 そこに保管してくれているなら 可能性が生まれる。
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