黒鍵に委ねて

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いよいよ当日になった。 有彩ちゃんとの練習では基本的に上手く弾けていた。 だからきっと大丈夫。 有彩ちゃんのお姉さんには会ったことはない。 でも、きっと今近くにいる。 だから大丈夫……きっと…… 「この想いを胸に僕らは」 「この先の未来を」 始められる……! 「歩んでいきます!!」 手は勝手に動く。 体はもう一連の動きを覚えている。 この伴奏曲は序盤は黒鍵が無い。 だが、最後の転調で全てが変わる。 あたりは#に溢れるのだ。 ピアノ自体には黒と白しかない。 しかし、奏でればそれは弾く人によって様々な色を引き出せる。 自己表現の1つ。 有彩ちゃんのお姉さんと私の色は同じようできっと違う。 でも、それでもいい。 信じればいい。 歌っているみんなと過去の自分を。 卒業後は皆と別れそれぞれの道を歩む。 知らない世界が私たちを待っている。 だからこそ私は 黒鍵(人生の一部)に今を委ねるのだ。
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