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夜の花
花火が上がる。暗闇の中にぱっと光を散りばめる。
ひゅるひゅると弱々しいほど細い光が下から上に向かっていく。思わず頑張れ、と声をかけたくなるような細い光。だけどそれが大きな花となることを知っているから、そわそわとわくわくも同時に感じていた。
そして電柱よりもビルよりも高く高く昇った先で、ついにぱっと広がった。黄、赤、青、白、緑。様々な色の光が、その名の通り花のように丸く広がる。数秒後に低く大きなどぉんと言う音がお腹を震わせた。
わぁっという歓声が止まないうちにパラパラと散っては、また下から光が昇っていく。
繰り返される夜の花に、空だけでなく心も明るく染められる。
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