世界の終焉に終演を

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行く当てもなく家を出る。 散歩でもすれば気が紛れる気がするから。 紫色の空に汚れ切った空気。 茶色い雲。 昔の自分には想像できただろうか? でも、たしかに目の前にある。 外のほうが現実が見える。 住んでいるマンション10階からの眺めはそこそこにいい。 いや、良かった。 今はもう瓦礫だらけ。 世界が終わる前に一体何人もの人が死んだのだろう。 きっともうこの街には誰もいない。 もういっそ死ねたら楽だったかもしれないな。 家族も友人も死んで、私だけが残った。 最後の1年を有意義に過ごしましょう。 政府は最後にこう言った。 ふざけないで。 私から全てを奪っておいてなにが『有意義に過ごしましょう』だ。 こんなことなら知りたくなかった。 何も知らないまま人生を終えたかった。 自分の死期なんて知りたくなかった。 でも、やっと明日解放される。 心残りは………ない…。 強いて言うなら、書きかけの物語。 でももう見せる相手もいない。 生まれ変わりがあったとしても人が滅びてるなら書くことはできない。 「……私はもう、希望なんて捨てたんだから……」 私は紫の空の下を歩いた。
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