世界の終焉に終演を

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私は小説家だった。 これでも世界が終わるって言われてる前までは人気の作家だったのよ? やっと波に乗ってきたってときに……世界が終わりますって言われた時は本当に鈍器で殴られたみたいな衝撃だったけどね。 世界が終わる前に私の作品を読みたいって人たちもいた。 嬉しかった。 でも、次第にみんな創られた世界に興味なんて無くなっていったの。 それでも、私は書き続けた。 いつか、誰かを救えるかもしれないって思って……。 でも、出版社がテロの被害で出版できなくなった。 誰も彼も自分のことで手一杯で見向きもしない。 だから、私は遂に書くのをやめた。 誰も止めなかったよ。 誰も救いなんて求めてなかったから。 だから、私は届けたかった物語は未完のまま終わったの。 この世界が終わる前に。
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