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№1
ゴールデンウイークのある日のこと、日没まじかの池田公園では防犯灯に灯が入った。
「おじいちゃん、今日はこんなにもたくさん捕れたしもう帰らない?」
「そうだな、日も暮れてきたしそろそろおしまいにしようか⁉」
黄昏迫る公園に一人の老人と一人の少年が草むらをかき分けいったい何を探していたんだろう? だがそれも終えようと二人は帰り支度を始めた。そんな最中、ジョギングで通りかかった一人の青年がわざわざ立ち止まったかと思うと息が上がったまま爺さんの背中ごしに声を発した。
「ゼィセィ、ハァハァ、何か・・何かお探しですか?」
爺さんはゆっくりと膝を伸ばし立ち上がる。
「よっこらしょっと・・なぁにちょっとね・・」
苛立ちを隠せない青年は遊歩道から草むらに足を踏み入れ爺さんの耳元で何やら呟いた。
「僕に出来ることでしたらお手伝いしますけど?」
「そりぁ有難いお言葉で・・だがねぇ、もう暗くなったことだし、ぼちぼち帰ろうかって孫と話してたところなんですよ」
と、爺さんが話し終わるのと入れ替わりだった、少し離れた防犯灯付近から翔和の叫び声が聞こえた。
「おじいちゃん、来て!早く早く、ほら見て!」
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