葬儀後

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葬儀後

「うわぁぁぁんっ!!!!!」 春恵が死んだことを正しく理解した亮太は 火葬場で泣き喚いていた。 おばあちゃんと、もっと遊びたかった。 おばあちゃんを焼かないで!! そう叫びたかったが、声はえずき となってうまく形にならない。 親戚たちはそんな亮太を見てもらい泣きをしている。 「亮太…おばあちゃんが安心して天国に行けるように 笑顔で見守ってあげないと」 そう言いながらも翔の頰に泣いた痕跡が残っている。 春恵はみんなに慕われていた。 向日葵のような優しさでみんなを笑顔にする 太陽のような存在だった。 だからこそ、春恵がいなくなるのが こんなにも悲しい。 「亮太くんはおばあちゃんが 大好きだったものね」 父方の叔母の祥子が目頭を白いハンカチで 押さえながら声を震わせる。 「ほら、亮太、おばあちゃんに お別れの言葉を言いなさい」 亮太は泣きながら首を振る。 「おばあちゃんは死なないもんっ! 死んでなんかないよ!」 そんな息子を見て咲はまた泣きそうになった。 それを堪えて、咲と大人達は春恵を見送った。 春恵のいなくなった部屋に亮太の泣き声が 響きわたる。 結局、亮太は祖母への誕生日プレゼントを 生きている間に渡すことができなかったのであった。
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