2.安藤さんの片思い

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それから卒業まで、結局、田原くんと話すことはなかった。 そして、私たちは中学生になった。 同じ小学校の生徒全員が同じ中学に入学。 もちろん、私も田原くんもーー。 だけど、中学1年、2年は、田原くんとは違うクラスだった。 加えて、私はクラスの中心グループに、田原くんは大人しめなグループに属していたので、話すどころか顔を合わせることもほぼないまま、2年が過ぎた。 3年生になって、ようやく同じクラスになれた。 私は嬉しかったけど、きっと田原くんはもう私のことなんかどうでも良いだろうな…。 そんな考えもあって、せっかく同じクラスになれたのに、それでも田原くんと話しをすることはなかった。 しかし、転機は訪れた。 3学期の卒業間近…、私は田原くんと隣の席になった。 隣の席が田原くんだと分かった時、心臓が飛び出すかと思った。 だって、ずっと心の中でお願いしてたことが、ようやく現実になったから!!! 田原「…安藤さん?」 安藤「は、はい…!」 田原「席替えしてすぐで悪いんだけど…、消しゴム貸してくれない?」
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