105人が本棚に入れています
本棚に追加
それから卒業まで、結局、田原くんと話すことはなかった。
そして、私たちは中学生になった。
同じ小学校の生徒全員が同じ中学に入学。
もちろん、私も田原くんもーー。
だけど、中学1年、2年は、田原くんとは違うクラスだった。
加えて、私はクラスの中心グループに、田原くんは大人しめなグループに属していたので、話すどころか顔を合わせることもほぼないまま、2年が過ぎた。
3年生になって、ようやく同じクラスになれた。
私は嬉しかったけど、きっと田原くんはもう私のことなんかどうでも良いだろうな…。
そんな考えもあって、せっかく同じクラスになれたのに、それでも田原くんと話しをすることはなかった。
しかし、転機は訪れた。
3学期の卒業間近…、私は田原くんと隣の席になった。
隣の席が田原くんだと分かった時、心臓が飛び出すかと思った。
だって、ずっと心の中でお願いしてたことが、ようやく現実になったから!!!
田原「…安藤さん?」
安藤「は、はい…!」
田原「席替えしてすぐで悪いんだけど…、消しゴム貸してくれない?」
最初のコメントを投稿しよう!