経験値を稼げ

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経験値を稼げ

彼女の名前はシャーロット。見習いの天使だった。男は上司の天使で名前はレパルスと言った。 「そもそも人生の本質とは、経験値を獲得する事だ。様々な出来事や人との出会いを体験して、経験値を獲得する。積み重ねた点数によって来世の待遇に影響する。ここまでは理解出来るか?」 「はあ、そうなんですか」 「キミの場合は、人生で4126point(XP)以上の経験値を獲得するのがクリア条件だった。ところが17年間でまだ817XPしか獲得していない。残りの3300XP以上を、別のエリアで獲得する事。その上で、人生のリプレイを希望すれば、17歳の7月24日に戻る選択が可能となる」 レパルスによると、一旦クリア条件を満たした上で、リプレイを希望すると0歳に戻される。一度クリアしている人生は「早送り」が認められるので、 17歳まで早送りをし、佐藤智人の残りの人生を歩むと言う案だった。 「天界には『バターリャ(戦い)』と言う特別エリアがあって、そこでは経験値を獲得する事が出来る。そこはお前達人間が「異世界」と呼ぶ様な場所で、お前の場合は冒険者と魔族のどちらを選んでも構わない」 それを聞いて冒険者一択だと佐藤智人は思った。仲間と共にチームを組んで魔族や龍を倒すのがロールプレイングゲーム(RPG)だからだ。 「冒険者は剣士・魔術師・格闘家・僧侶など100種類以上の職業から選択が出来る。自分でオリジナルの職業を創る事も可能だ。種族もヒューマン・エルフ・ファーリー・エヴィアン・ドワーフなど8種類から選べる」 それを聞いて「ヒューマンの剣士とエルフの魔術師」のどちらにするか迷う佐藤智人。 「魔族の場合は、ランダムで割り振られる。基本的に倒される側なので、能力も冒険者より能力も低い。その代わりにメリットも幾つかある」 その後もレパルスの説明は続いたが、ほとんど耳に入らなかった。 「お前は特別に経験値2000XPが加算されて、2817XPからスタートする。一番弱いスライム1体を倒せば50XP獲得出来るから、順調なら2日以内に3300XP以上稼げるだろう」 佐藤智人はホッと胸を撫で下ろした。人生が突然終了してガッカリしていたが、こうして救済措置を与えられて良かったと思った。
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