カニ味噌とエンガワ

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カニ味噌とエンガワ

ゴブリンの特徴は体力・攻撃力・防御力が貧弱な代わりに、レベル1からレベル100まであり、レベルUPが簡単な点がメリットだった。レベルUPに応じて様々なスキルが使用可能となるが、基本的に雑魚キャラなので期待は出来ない。 一方で堕天使の特徴は体力・攻撃力・防御力が魔族最強レベル。MAXはレベル20だが、基本的にボスキャラ扱いなので、その気になれば冒険者を全滅させる事も可能だ。 レベル1のシャーロットはともかく、既にレベル12のレパルスは無双する事が出来る。にも関わらず、ネギトロは冒険者と出会うと「逃げる」を繰り返した。 スタートしてから魔族に会うと名前を聞くネギトロ。やがて3人は冒険者と魔族の両方で噂される様になった。 「おい、知ってるか。堕天使2体とゴブリンの変なチームがいてさ。コッチが攻撃しても反撃しないですぐに逃げるんだよ」 「へぇ~、ソイツらは馬鹿かよ。反撃して来ないなら倒すのは簡単だな。堕天使2体を倒せば、それだけで条件クリア出来るじゃねーか」 冒険者達はネギトロ達を探し始める様になった。 それから2日後、ネギトロ達が拠点にした洞窟に、スケルトンとゴーレムがやって来た。二人は「カニ味噌」「エンガワ」と名乗り、そのハンドルネームを聞いただけでネギトロは歓喜した。 「おう田中、三上。二人共無事だったか!」 「いや、死んだから無事ではないな」 「変なチームの噂を聞いて、名前がネギトロだったから、多分オマエだろうなって気付いたんだよ」 「お互い中学生の頃から使ってる名前だからな」 二人と抱擁を交わし、堕天使達を紹介した後、今回のアクシデントについて二人に話したネギトロ。 「オレ達も生き返るには経験値を稼ぐ必要があるって、アズミランから聞いたけどさ」 「ミスがあったとは教わらなかったぜ」 どうやらアズミランは遊覧船事故で死亡した他の乗客達には、真相を教えなかったらしい。 「それにしても、オレ達が魔族を選ぶってよく解ったな」 「そりゃオマエ達はパソコンゲームやる時にMOD使うからな」 「言っとくけど、チーターなのは三上だけだからな」 「おいおい、ふざけんな。オレがチーターだって証拠は無いだろ」 「何言ってんだよ。あんなヘッドショットをバンバン決められる訳無いだろ」 三人はパソコンのオンラインの対戦ゲームが好きで、よく参戦していた。 中学生時代は普通にプレイしていたのだが、高校生になって田中と三上はプログラミングを学ぶ。 やがてゲームの世界観を変更出来るMODを入手して使う様になった。更に三上はゲーム内の能力値をUPさせる「チート」に手を出したと疑いの目を向けられる様になった。対戦ゲームの世界でチート行為は違法で、それをする人は「チーター」と呼ばれている。 ちなみに三上は銃の照準を自動的に合わせるチート行為を行っていると疑われていた。
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