チーム結成

1/1
前へ
/10ページ
次へ

チーム結成

「人間界でチートは違法だけど、魔族を選べば悪事は称賛されるからな。どうせオマエらの職業も、違法なヤツなんだろ?」 ネギトロがそう言うと、二人は「よく解ったな」と苦笑いした。 「オレはグリッチにした。三上なんてプログラマーだぜ。どう考えてもプログラムに介入して改竄する気満々だろ」 「ダメ元で職業申請したら、承認されたからな。この世界で職業にプログラマーを選ぶ理由なんて、解りそうなモンだけど」 愉快そうに笑う二人。グリッチとはゲーム内で発生するバグを利用して対戦を有利にする行為を指す。対戦ゲームでは違法行為として禁止されているが、魔族なら逆に称賛される悪事だ。 「そう言えば佐藤はMODにも興味無かったな。もしかして職業は「善人」だったりして」 「バカ言うなよ。コイツが善人だったら世の中ひっくり返るわ。人を騙すのが得意な策士なんだぜ」 「おいおい、人を詐欺師みたいに言うなよ。まあ設定した職業はトラップだから、変化球ではあるけどね」 「トラップってどんな能力なんだ?」 「ハハハハ、内緒だよ」 ネギトロは人差し指を口に当てると、二人の手を取って「チーム組もうぜ」と言った。 こうして「堕天使✕2体・ゴブリン・スケルトン・ゴーレム」の魔族最強チーム『寿司´s』が誕生した。 「僕達が揃えば冒険者達を圧倒出来る。こうして組むのなら、チームの目標を話し合って決めておこう」 こうして5人は話し合って『寿司´s』の目標を3つ決めた。 ①ネギトロ達が元の生活に戻れる様に条件クリアまで経験値を獲得する。 ②堕天使2体が天使に戻れる方法を探してサポートする。 ③創世神アズミランの創った世界のプログラムを改竄して、人間界に戻った後でもチート生活が送れる様にする。 「何だかワクワクしてくるね!」 シャーロットが嬉そうに言うと、他のメンバー達も笑顔で頷いた。だが、ネギトロだけは笑顔の裏で、密かに策略を張り巡らせていた。 ①は楽々クリア出来る。だが②はアズミランが決める事だろうし、③もアズミランがいつまでも黙って見逃すハズが無い。 ②は堕天使2名を協力させる為に設定した目標で、③は田中と三上を協力させる為に設定した目標だった。ネギトロにとっては、①だけが本当の目標だ。後の2つはどうでも良い。 アズミランが天使達を魔族に堕とした時に、冒険者から魔族に変更したのは、愕然とする二人を見て「コイツらは戦力になる」と瞬時に判断したからだった。 説明を聞いて、少なくとも田中と三上は魔族を選ぶだろうと確信していた。冒険者を選んでイチから仲間を探すよりも、魔族で条件クリアを目指した方が賢明だと判断した。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加