シャーロットの勧め

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シャーロットの勧め

『寿司´s』の3つの目標の一つをクリアした事を祝って、酒宴が行われた。 人間界では未成年の飲酒は違法だが、 魔族でいる間は無関係だ。ネギトロとエンガワは初めて飲むワインの味に思わずむせたが、カニ味噌は平然とした顔でグビグビと何杯も飲み干した。 レパルスは酔っ払うと毒舌になる様で、自分達を堕天使に堕としたジェホヴィの悪口を吐きまくった。 シャーロットの方は「楽しいね~」とずっと笑顔だ。 暫く酒宴が続き、尿意を感じたネギトロはみんなから離れた草むらに行くと、オシッコをした。 みんなの方に戻ろうかと歩いて行くと、樫の木の側でシャーロットが待っていた。 「少し良いかな」 そう言ってゆっくりと歩き始めたシャーロット。ネギトロは彼女と一緒に歩く。 「ワタシのミスで貴方を死なせてしまった事、本当に申し訳無かったと思っているの。その責任を取る事になって、レパルスも堕天使に堕ちてしまった事も。こうして貴方が無事に生き返る条件をクリア出来て、ホッとしているわ」 「でも、まだあと2つ目標が残っているよね」 暫く黙ったまま歩いた後、シャーロットは言った。 「後の2つは叶える必要が無いと思う。堕天使から天使に戻れるかはアズミラン次第で可能性は低い。そしてこの世界のプログラムを改竄したり、バグを利用して勝つなんて不正を、アズミランが許すハズが無いもの。 だからせめて、貴方は助かって欲しいと思っているわ。レパルスもきっと同じ考えよ」 「いや、でも......」 シャーロットはネギトロの唇を指で押さえた。 「魔族の姿が長く続けば、心も闇に染まって行くのよ。貴方にはこれ以上闇に染まって欲しく無い。だから元の世界に戻って」 そこまで言われたら、それ以上は抵抗するべきでは無いとネギトロは思った。静かに頷くと、シャーロットは「良かった」とニッコリ笑った。
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