夏の奏

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 教室の中では、僕が戻らない事で少しだけざわついている模様。  そりゃそうだ。みんなからしたら僕は下着ドロの犯人なのだから。 「このままにげるつもりか?」 「土下座して謝って、松前の下着を返せばまだどうなるかも知れねえのにな」 「バカ。それ決めるの松前だろ」 「そりゃそうか」  腕を組みながら、周りの野次馬共の会話を聞く田城は次の授業の準備を終わらせて席についている。  松前は、保健室で寝込んでいるらしい。原田に聞いた話だと保健室でサイズのあったブラジャーが借りれるわけがなかったのでスポーツブラを借りて難を逃れているらしい。  こいつ何でも知ってるな……。  教室のそんな様子を、原田の備えた隠しカメラから、スマホで見ていた僕と原田は6時間目が終わる迄に教室に行けるように準備を始める。  このしょうもない事件を終わらせる準備を。 「原田、僕はどうしたらいい?」 「とりあえず冷静でいろ」 「わ、わかった」  ちなみに原田によるとこの学校のほとんどの場所に隠しカメラが設置されているらしい。  全て誰にもバレないようなところに。
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