夏の奏

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 しかしトイレや更衣室には流石に設置していないらしい。  流石に盗撮はしない、だそうだ。  僕は、原田が用意した情報の全てを聞き入れながら頭の中を整理した。  彼らは、特に田城は頭が良い。単純に成績が学年トップなのである。  見るからにとても計画的な犯行だ。だがしかし、彼らもまだ中学3年生。どこか爪が甘い箇所がある筈だ。  憶測で詰め寄るのではなく、事実や証拠で詰め寄る。  そうじゃないとクラス中の膨れ上がった膨大な民意に僕は太刀打ち出来やしない。 「……そもそもこの事件……何をキッカケに執り行われたんだ……?」  暑い教室の中、じんわりと流れる汗を持っていたハンドタオルで拭いながら、思考を巡らせる。  僕はこんなしょうもない事件の犯人になるつもりはない。  下手すると人生を終わらせるキッカケになりかねない。しかもしていない事でだ。  僕はどうしてもそれが嫌だった。してしまった事を咎められているわけではない、というのが心底嫌過ぎたのだ。 「そういや、佐藤。お前松前と幼馴染だったな」 「……そう言えばそうだった……のか?」 「なんでお前じゃなくて俺の方がそんな事把握してんだよ」  ____________________
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