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「嫌…………! 佐藤……ごめん……ごめんだから起きてよ…………」
いつしか僕の意識は遠のき、声さえも聞こえなくなっていた。
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ハッと目を覚ますと、目の前は知らない天井。ここはどこだと首を動かす。
白い布団に、白い壁に天井。窓は開けられ、雲一つとない青空が見受けられると同時に蝉の大合唱が聞こえて来る。
「……こ、ここは、びょ……病院か……ケホケホ……」
喉が引っかかる感じがして、声が出し難い。
そうか。生きたか。
心の何処かで安堵しながら、窓から空を覗く。
すると、ボトッと何かが落ちた様なそんな鈍い音がした。
音の方向へ身体を向けようにも力が入らない。
「……か……奏くん……?」
「……ァ……」
「奏くん……起きたんだね……良かった……本当に良かった……うぅうぅ……」
ゆっくりと声の方向へと顔を向ける。そこに立っていたのは、私服姿の松前夏菜であった。
「……か……な……?」
「ごめんね……私、奏くんが犯人じゃないって分かってたの……分かってたけど……分かってたのに……」
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