夏の奏

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「……あーあー……ヴヴゥンッ……ゲホゲホ…………」 「盗られた恐怖と、皆の奏くんを見る視線が怖くて……何も言えなくて…………ごめんなさい…………」 「なんでお前が、俺に謝るんだよ」 「だって……言えてたらこんな事には……なってなかったかもって……」 「結果論だよ。未来がどうなってたかなんて、その場に居た誰にも知る由もなかった。なのに、後になって悔やんでも仕方ないだろ」 「……うん……ごめんね」  所でなんで自然と、下の名前で呼んできてんのこの子。いくら冷静沈着な俺でもドキッとしてしまうだろ?  なんだ? そのおっぱい揉むぞ?  というかそんな事より今日は何月の何日だ?  あれからどれ程の時間が経って、どうなったんだ。 「……待ってて。待合室に居るみんな呼んで来る」  そう言って松前夏菜は、部屋から飛び出る様に出て行く。窓から流れる静かな風がどこか心地良く、心を穏やかにしてくれている気がする。  騒々しい1日だった。それが早々に終わったんだ。  その結果が、この左肩だ。  まだ痛みはある。当たり前か。  身体が上手く動かない。何故だ。  単純に寝過ぎたから、身体が鈍っているだけだとは思うけど。  …………待て。 「みんな……?」 「佐藤……!!」
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