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「おっと、もう喋らなくて良いぜ? さあ、早く出せよ。松前さんの下着を……!」
「えっ……いや……そんなの知らない」
そう言ったのに、田城は僕に近付き、ニヤリとした表情で僕にだけ聞こえる声で「悪いな」と言う。着席していた僕は無意識に田城の方向へ身体を向けていた。
少し焦りながら、口ごもる喋りをなんとかしつつ僕は声を発する。
「い、陰謀論だ……!」
その声に続いて田城は言葉を被せる。
「陰謀論? 君がこの3時間目、4時間目の水泳の連続授業に、途中退席したのはこのクラスと、隣のクラスの何人かが見ている。その間に、プールから少し出た女子更衣室へ立ち寄った……と考えるのは自然だろう?」
「違う……! そんなの憶測でしかないじゃないか!! 僕は保健室へ行っていただけだ……!」
「保健室へ行く途中に、立ち寄り。そして何処かに隠した。放課後の帰りにその何処かに立ち寄り、持ち帰る。そこまでが算段だった……という感じか?」
こいつ。何を言っても、ああ言えばこう言う。
周りの視線も痛い。何よりも3強女子が睨みつけてきているのが1番怠い。
僕は違うのに……。
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