夏の奏

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「お前の言う事は嘘じゃないと思う。先生方の云う話と辻褄が合うからな。結論から言うと、俺は佐藤。お前は犯人じゃないと思っている」 「あ、ありがとうございます……」 「だからと言って、別の犯人が分かっているわけではない」 「はい……」  そうだ。ここで僕が犯人じゃないと先生に言ってもらった所で真犯人が誰かなんて分かったわけではないのだ。 「……うん……? そう言えば」  先生に聞こえない声で呟く様にそう言い、思考を巡らせる。  ヤツは、僕に対して僕にだけ聞こえるような声で「悪いな」と言っていた。  あの時はそれどころじゃなかったから気にしなかった。気にする事が出来なかった。  なんだ……?  何かが引っ掛かる……。そんな気がする。  もしかして、真犯人は……田城だって言うのか……?  いや、これは憶測だ。憶測だけでモノを言うのはヤツと変わらない。 「とりあえず飯食ったら教室戻れるか?」 「……地獄にもどれって言うんですか……?」 「授業はどうする。受験生だろ、お前」 「……分かりました」 「まあ、気持ちは分かる。なんかあったら先生に言ってこい」
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