夏の奏

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 ……なんかあってからじゃ遅いだろ……。  ____________________  会議室を出て、自分の教室へ戻る道中渡り廊下で隣のクラスの原田(はらだ)一生(かずき)と鉢合わせする。  センター分けにされた髪型で雰囲気がイケメンではあり、彼はよく女子からモテているらしい。  体型自体も、身長は高めであり、筋肉質である。しかし、体力と腕力はからっきしである。  原田は、腹を抱えて笑いながら僕の肩に手を置く。 「くっくっく……! 佐藤お前、松前の下着盗ったんだって……?」 「僕がそんな事すると思うか? というかもうこの話出回ってんだな」 「しねーと思うから余計おもろいんだろ。もう学年中には出回ってんじゃねーか?」 「……たく。そもそも僕の美学に反する。そんなチートじみた事するわけがないだろう。エロに卑怯な事をしない。それが僕の美学だ」 「ハハハ、だろーと思ったぜ。俺もお前にそんな事する度胸ねーと思ってたところだ」 「度胸あるなしの問題なのか、これ」 「いーから聞けよ。情報、要るんだろ?」  彼は僕の古くからの友人でもあり、情報屋としてもこの街では有名である。
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