進行方向は黒 5

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進行方向は黒 5

 翌日の夕方。出勤する道中、あの信号機と邂逅した。信号機は昨夜とは異なり、青信号がはっきりと点灯していた。他の車は当たり前だが何事もなかったかのように通行し、自分もその一員として同様に信号機の下を通過した。  運転中、昨夜の異変について思いを巡らせた。  電球が切れていたのか、はたまた、信号機の不具合だったのか。理由は知れなかったものの、現状は動作している以上、不都合はなかった。どことなく違和感がぬぐい去られたような面持ちで、工場へと向かい、仕事をこなした。  仕事は、芳しくなかった。昨日と同じくライン作業でミスをし、同僚に軽い叱責を受けた。その日の作業も肉体的、精神的にひどく疲弊するものだった。
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