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何十年も前――地上が汚染され、未知の生物【機械生命体】と原因不明のまま人類は階層都市を作った。その際、人工物が効かないと言われていたが、ある人物が身を挺して倒したことから機械の部品の歯車を使った命ある【階層都市】が出来上がる。
しかし、それは消耗品で年に数回。
または、定期的に交換しなくてはならない。
そのせいで“ヒト”は以前より【寿命】を失ない。都市を失わぬようにと【機械刈り】が始まった。
「この小さな町も全滅……」
ガスマスクをつけた成人男性が十二階ある階層の下【三層目】の【機械崇拝】【人類滅亡】とこの時代珍しくもない信者が集う教会に足を運ぶ。
彼が来たのは歯車の部品、機械生命体を倒して解体。生活費を稼ぐために階層を彷徨う【何でも屋】。その他にバウンティハンター、ギャングなど治安の悪さから人間の争いが激しい世界。
「機械の襲撃……ですかね」
無数に転がる老若男女の死体と機械の残骸。血に染まった教会の中に小さく咳き込む声が聴こえ、顔を向けると華奢でYシャツを真っ赤に染めた青年が壁に手をつき無理やり立とうとしていた。
男性は手に持っていた魔改造したライフルを背負い、青年に駆け寄ると“ヒト”とは違うモノに目を見開く。
「手、貸しましょうか?」
「いらない。構うな」
否定的でトゲトゲしい言葉に男性は言葉を失うも引き下がらない。
「ですが、パッと見ですけど助けられるかもしれないです。自分、独学なのですが修理をしているもので……あの、良かったら――」
男性が言葉を言い終わる前に力を失い、膝をつく青年を支えるよう男性は慌てて手を伸ばす。
ヒトにしては重い。
それが“カレ”の第一印象だった。
「にしても変な宗教ですね」と肩を貸しつつ周囲に目を向け“死体”が【朽ちた機械】と変わり果てる姿に目をつぶった。
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