機械仕掛け

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「ただの腐れ縁よ、気にしないで」  11層から8層へエレベーターで移動。途中、近くの町により買い物がしたいというカミラの我儘に付き合う二人。今思えば歯車の回収所ではなく、護衛という仕事にリアムは慣れているのか「それよりこっちが値段の割にはよろしいかと」と頼りがいがある。ライナーはそんな二人の背中を離れた場所から見つめ、二人がどんな関係なのか少し気になっていた。 「待たせてごめんなさい。服が派手かと思って庶民的にしてみたの。どうかしら?」  ドレスではなくシャツワンピースにスキニージーンズ。足にはレッグポーチを付け、動きやすさ重視にしたのか上層の印象は無く、が品のある話し方や態度は変わらない。 「いいんじゃない」 「こら、ライナー。年上と話すときは敬語にしないとダメです」  リアムの言葉にムスッとしては無言で歩き出す。 「すみません」 「いいのよ。久しぶりにこういう服装してみたかったの。でも、やっぱり下に下がるほど空気も人も変わるのね」 「いろんな人がいますから……嫌な時は言ってくださいね。5層から何もかも変わってきます。治安も酷くなるので……」  周囲の視線を気にしつつ改め下へ。途中乗り換えで更に下に行くも「只今、4層にて機械(マシナリー)の報告がありエレベーターホールから出ることは禁止されています」と到着するやアナウンス。  人々が十数人ほどおり、警備員と口論。流石に見かね話しかけると「何でも屋に討伐を依頼して行ってもらってる。連絡があるまで待ってて欲しい」と言われ渋々待つことに。  だが――その連絡は一切来ない。 「お兄さん、あまり言いたくないんだけど“何でも屋”殺されたんじゃないかな」 「……アナタもそう思います? 私もそう思うんですが話によると人数多いと聞いたので時間かかってるには遅いんですよね」  歯車に巻き込まれないよう壁や手摺りとなっているチタンやパイプに凭れ顔を合わせる二人。カミラは腰掛けられる場に座ってもらっていたが「二人なら倒せたりしないかしら?」と信頼しているからか小声で話に割り込む。  しかし、エレベーターホームの指示。下手には動けないとリアムは難しい顔をするが「あのさ、5層からそのまま落下して行ける抜け穴あるんだけど」とライナーの言葉に足を動かす。
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