機械仕掛け

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「これ、自殺行為じゃないですか……」  5層の端。都市自体歯車のように丸い形をしているが歯車の不備が見つからず崩れ落ち、穴がポカリと空いた場所が数多くある。何とか直している、とラジオやテレビで言っているが間に合わず放置されているところが多いのが現実。  それをライナーは違法であるが法律も何もこの世界では腐っているため、同時にワイヤーを一定の階層から繋げ単独行動時のみ使用。その仕様に基づき、その箇所の歯車をメンテナンス含め穴が広ならないように見ているらしく安全性はお墨付き。  しかし、機械(マシナリー)のコアを利用したワイヤーでの移動は少しリスクがあるそうで「速度間違えたら死ぬ」と平然と言う様子にリアムとカミラは身構える。 「それで4層へ。よくそんなモノを造ってましたね」 「お兄さんが爆睡してる時に素材回収してたり、エレベーターが最近壊れるから不便だろうと思って勝手に造った。初めは一本のワイヤーだったけど二本にしては重力操作の機械(マシナリー)コアを使って、安全性と耐久に特化。ほら、スロープみたいに滑るように落ちるんだけど一定速度になると減速。重力操作で高所でも大丈夫なようにゆっくり降りられる。本当は次元、空間、時間操作が出来る機械(マシナリー)コアを使って好きなときにワープできる様に調整はしつつはあるけど実験してなくて」  ライナーは二人に懐中時計のような形をした機械を見せる。重力・次元・時間という意味合いで今は見かけぬ“懐中時計”の面影にカミラは興味津々。 「あら、重力と次元、時間のコア。面白いじゃない試してみたら?」 「失敗したら体ちぎれるけど……。実は何回か試して失敗はしてない。ワープできるとは一層ずつだから改良したら数層は飛ばして出来るとは思う」  カミラか言葉をかわすと思いきや「どちらも気になりますね。では、彼女と自分がワイヤー使うのでアナタは――」と指さされ、渋々二人に使い方を教えた。 「なるほど、簡易的なエレベーターみたいな。怖そうですけどアナタ使ってるなら安心ですね」 「オレの認識しか基本使えないんだけど……遠距離から信号遅れるから行けると思うよ」  そう言いつつ先にリアムが降りていく。数分か測るかと思いきや一分未満で取っ手だけが戻ってくる。 「はい、お姉さん。普通に掴んで落ちるだけだよ」  なんて簡単に言ってはしっかりと見送り、取っ手を回収しライナーだけは時空移動。  カチッと秒針を弄るや視界が真っ白になり、話し声で目を開けると驚くリアムとカミラの顔に「何、やれって言ったの誰だと思ってるの?」と一言文句を言う。
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