機械仕掛け

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「いえ、あまりにも早かったので……もう少し時間かかるかと」  リアムはワイヤーを見ながら、ライナーに視線を送り「良いものを開発しましたね。何かあったら自分も使えるようにしてもらえると」と小さな願望。 「んー考えとく。あまり重いと大変だから」 「じゃあ、帰りはエレベーターですね」  錆だらけの暗い4層。  5層と違い活気が薄れ、荒れている。  町よりも小さく一休みする場所がほとんどのせいか、住まいとしての役割は果たし難い。 「……数日前よりも荒れてますね。あと、火薬の匂いと焼けた嫌な匂い」  リアムはスナイパーライフルを手に持ち警戒しながら進む。ライナーもサブマシンガンを引き抜き、速歩きでリアムを追い越し、前に出ると立ち止まる。 「どうしたの?」  カミラの言葉にリアムは静かに言う。 「機械(マシナリー)の音が聴こえるんです。耳を澄ませるとわかりますよ」  彼の言う通り三人は口を閉ざし、その場に佇むと時を刻むような音と巡る音が徐々に近づく。それは大きくなり「待って、大型化かも」とライナーは身構えると地面が揺れ、咄嗟に跳躍。  ライナーがいた場所には地面から這い出した機械(マシナリー)。この時代にはいない生物を模った型に思わずリアムはカミラの手を掴み走り出す。 「な、なんですかあれ!! こんなの見たことないです。もしかして、討伐しに行った人達はアレに呑み込まれたのでしょうか」  地面から現れた芋虫のような、ミミズのような物体の気持ち悪さに声を上げながらもリアムの後ろからは銃声。走りながら振り向くと空中で体勢を変えながらライナーが弾を撃ち込んでいた。  大型すぎてダメージが入っているのかさえ分からない。だが、大型だからそこ重く動きが鈍いのを利用して大きな口にコアがあるのか、やたらと狙っていた。 「悪いね。弾切れだからご飯あげるよ」  ライナーはハハッと笑いながら手榴弾を放り投げ、爆風に飛ばされ転がりながらもリアムとカミラの前に着地。 「コイツ、大きな口の中にコアがある。でも、そのコア周辺に異物を切り裂くような刃が回転してるから近づけない」 「なるほど。弱点を見せつつおびき出しては切断機みたいにズタズタにするタイプですか。それはやりづらいですね」  手榴弾喰らい、口から真っ黒な煙を出して暴れる“ソレ”はビリビリと黒い稲妻を走らせて倒れる。それが倒したかはさておき【新種】にリアムは確かめるように一発コアがあると思われる場所に向かってスナイパーライフルを放つ。  バリンッと甲高い砕ける音が周囲に響く。  同時に“ソレ”自体が崩れ落ち瓦礫の山と化すも人を食べた形跡は一切なかった。あるのは“別型の機械(マシナリー)”を食した痕跡とひび割れたコア。ライナーが地雷を使って無理やり破壊し、転がってきたのが残骸。食らい、体の一部として作り替えた末に生み出された機械(マシナリー)なのだろうか。そうなると知能が高く見えるが呆気なく倒せるのを考えると疑問が生じる。 「コレが討伐対象だとしたら人は何処へ?」
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