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リアムとライナーは顔を見つめ「空から見た感じ戦闘中の音も何も見えなかったし、聞こえなかった」と互いの情報を交換。
「では、何でも屋に任せたというのはウソ?」
「このご時世、人も敵なのかも」
「だとすると、誰がこれ放ったんですか」
思わず二人はカミラを見る。上層部なら何か知っていると思ったのか無意識に顔を向けるが「こんなのといつも戦ってるの? 聞いてないわ。こんなモノがいるなんて」と驚く様子にはウソがない。
「とにかく一旦整理しましょう。それだとエレベーターホールに連絡しようにも違反者とみなされてはいい迷惑です。ライナー索敵してください。自分は彼女と一緒に見て回ります」
「了解」
ライナーはワイヤーガンを使い、一気に遠くへ飛ぶ。その身軽な動きにカミラは見とれ「あの子、人間なの?」と溢す言葉にリアムは「違います」と添えるそうに答えた。
「では、なんなの?」
朽ち果て壊れた建物を見つけ、中を確認しながら誰かいないかと探す。だが、4層は生活をするには過酷な場となっているのか生活感はあるが破壊されていた。
4層を六等分にしたらその三個分は歯車は機能してない。生活するには環境も空気も悪く、奇跡的に生えていた草も今は枯れ果てていた。
「環境の悪化。歯車の具合も悪い。生命の死ってやつですかね」
「リアム、答えになってないわ」
「すみません。話したくないんです。貴女を信用しているつもりではあるんですが」
今までない不信用と言える言葉にカミラは足を止める。背後からの鋭い視線にリアムは振り向く。
「この世界にはもう――人間なんていないんです。もしかしたら、居たとしても連れ出され嫌な目に合う。上のしていることは筒抜けです。じゃないとライナーが何故生きているのか、意味が変わります」
近くの瓦礫にリアムは腰掛け静かに言う。
「さて、何から話せばいいですか。上層部が雇った殺し屋かよくわからない人達が関係ない人たちを拐っていく。行方不明で帰ってこない。しかし、いざ下層に行ってみると……変わり果てた姿で見つかる。機械となって」
空になった薬莢を地面に落とし、新しい弾を込め深い溜息。リアムはカミラに視線を送るもいつもとは違う態度で「自分は平和主義です。なので、いざこざに巻き込むのは辞めていただきたい。ライナーもそうです。彼に触れないでください」とゆっくり腰を上げ、睨みつける。
「私の大切なモノに手を触れないでください!!」
その言葉は過去の過ちと後悔か。
もしくは違うか――。
その理由はリアムにしか分からないことだが、少なからず長い付き合いのカミラは謝罪するよう俯き「仕方ないじゃない。そうしなければ私が殺されてたの!!」と我慢していたことが爆発したのか。泣きながら頭を抱え、その場に崩れ落ちた。
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