機械仕掛け

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「だからって私の周囲の人を殺して回収などたかが知れてる。悪魔ですか貴女は!! 誰に魂売ったんです。貴女がそうしないといけないとなると上の人ですよね?」  彼らしくない怒りに満ちた声。カミラは泣きながら必死に答えようと口を開くも薄く笑みを浮かべ。 「だから、アナタは弱いのよ」  言葉と同時に向けられたのは銃口。  思わずハッとするリアムだが避けそうにも既に遅かった。乾いた音に目を丸くし、死んだ――と過程したのだが彼の前には「やっぱりアンタも機械か。同種同士仲良くしようか」と弾丸を左手で受けとめ握るライナー。 「なんでここにッ」 「なんでって。ここ最近、裏切りに遭うのが多いからか疑って正解だった。やたら下に行くと人探しや紙が貼られてるし、この小さな場所で信頼得て誘導されるとしたら上層部。そうなると疑わざるおえない。いくら古い付き合いだからって鉄の塊になれば違和感の一つや二つ出てくるでしょ。ねぇ、お兄さん」  受け止めた弾丸を落としサブマシンガンを手に構える。 「だってお兄さんを見れてば分かる。なんか変だな、とか口に言わないでしょ。それに数ヶ月しか一緒にいてないけど手紙を丁寧に保存してたり、日付書いてたり。それを見る限り期間がおかしく思えた。お兄さんはオレと会う前にその人に会ってる。でも、数月に1回の一定の頻度乱れることがない。だから、おかしいと思った。でも、言わなかった……歯車が狂ってると分かってて」  ライナーは背中で語り、カミラに向かって「上の圧力は相当なものみたいだね。見回ってて分かったのは人の血痕はあった。でも、戦ってるのが機械じゃないんだ。多分、あんたらみたいな“偽人間”だと思う。証拠なくて断言できないけどさ。お兄さんみたいに人間らしい人――そんなに欲しい? あげないけどね」と銃口を向けた。 「わ、私を殺す気なの!!」 「いや、正式には壊す。そうしないとお兄さんが可哀想。お兄さんは何も悪くないのに悪者にしてるのアンタらじゃん。だから壊す。それで解決」  ニコッとライナーは子どものように笑っては地面を蹴る。カミラはライナーから護身用で受け取ったナイフを取り出す。ライナーの認証しか熱を帯びないはずが――赤く熱を浴びる様子に「あぁ、やっぱりハック出来るんだ。やだね」と足でブレーキを無理矢理かけ、後ろへ下がる。 「あら、流石に斬られるのは嫌かしら」 「……まぁ、一部機械だから。オレも」  苦笑しつつ一瞬怯んだ体が再び駆け出す。 「殺されに来るってよほど馬鹿じゃないの!!」 「甘く見てほしくないね。アンタよりも何倍もこっちは殺してるんだよ」  ナイフを振り下ろされ、ライナーは刃に当たらぬよう彼女の手首を掴む。そのまま銃を腹部に向けて「サヨナラ。あ、でも死なないのわかってるから四肢ボロボロにしたら殺してやるさ」と青年にしては似合わぬ言葉に銃声が複数響く。
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