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「こんな町ある場所で動物型。珍しいも何も迅速に――」
周囲に人がいないか安全確保をするリアムに対し、即座にライナーはサブマシンガンを両手に握り駆け出す。人とは並外れたスピードで風の如く近づき――背後を奪っては人間の体に例えると“脊髄”。その箇所に向かって銃口を向け、思いっきり引き抜く。
引き金から手を離さなければ止むことのない弾丸。それは機械の装甲を破り、次々と体内へ弾を埋め込む。脳よりも複雑に入り組んだ配線の多い箇所を狙い、あっという間に二体を行動不能にするや左手で頭をもぎ取り、両手で強引に引き裂いては【コア】と呼ばれる心臓を取り出す。
宝石のように美しい“機械の心臓”。型によるが抉り出さないと制御不能にならないタイプやコアなしの脊髄タイプもおり、判別は難しいが頭があれば大体――と言いたいがそうでもない。
「これはすごい。火薬とこれ混ぜたら“スタンボム”にならないかな」
青くビリビリと稲妻が走るコアにライナーは思わず軽く投げ遊ぶ。だが、残りの一体がライナーの腕を噛み千切ろうと横から割り込んだため、蹴りで動物型機械を怯ませ、離れて待機していたリアムに向かって「撃て!!」と叫ぶ。
その言葉に応えるような大きな銃声にライナーは「鉄くずになったら可愛がってやる」とその場から離れた。
すると、見えぬ空気の震え。
着弾と同時に爆発を連想させる音。
見えぬ凄まじい風圧に必死にライナーは耐えるもブーツが滑り徐々に後ろへ下がる。仕方なく隠し持ってたワイヤーガンで鉄柱を掴んでは強制的に引っ張ってもらい、そのままの態勢で砂煙や視界が良くなるのを待つ。
「大丈夫ですか」
数分してリアムの声が聞こえ、ワイヤーガンをワイヤーを引き戻し何もなかったように素手でコアを回収。その他、使えそうなパッチや配線など見つけ解体する前に町へ一旦運ぶ。
人がいない隙を見て何もなかったように家の横の倉庫に押し込み、振り出しに戻るも「ご苦労さんじゃ」とにこやかに笑う老人。
「手応えはどうじゃった? 少し手間取ったかね」
「いえ、何も……。聞いていた内容と一部違うのが気になりますが特に」
リアムはライフルのメンテナンスを簡単に済ませ、ライナーはじっと外に続く道を見つめる。
「若いのどうした」
「何も。夕暮れになる前に子供は家に帰るように言ったほうがいい。人口が減る」
「それは困る知らせじゃな。上の人が動けばいいんだが……話すら聞いてくれんからのう。とにかく依頼料じゃ」
なんて小さな封筒を差し出されたが受け取らない。いや、受け取るには相談しなければならないことがあるからあえて触れなかった。
それは老人もリアムも分かっているようで「用事を片付けたら速やかにお伺いします。なので、今日は町にいてください」と頭を下げる。リアムの行動に口づけするようライナーが「普通の何でも屋じゃ死ぬに等しい代物が彷徨いてる。侵入経路を漁りたいのもあるが……場合によっては簡易的な討伐武器を配置が好ましくなる場合もある。分かり次第伝える」と目を合わせず言う。
「わかった。しかし、子供もおる。遊び盛りで町から少し離れたところに行ってしまう子も少なからずいてのう。それは此方で対応はするが頼るかもしれん」
「大丈夫です。夕刻前には帰ってきます。ライナー行きましょう」
走り出すリアム。ライナーは老人に「一時的に機械をスタンさせる手榴弾。家の前のガラクタの中に隠してある。何かあったら使ってくれ」とある場所を指さし、置いていかれまいとリアムの後を追う。
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