機械仕掛け

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 エレベーターを三つ乗り継ぎ、時には都市中心の螺旋階段を登る。この時代には乗り物はなく全て徒歩。唯一エレベーターがあるが上に行くには“招待状”もしくは“第◯階層行きカード”という貧困、治安差別・維持をするようなモノが必要。  リアムは元々技術者(修理屋)として腕の良いことから何回か行っており、そのため自由に行けるカードを既に所持。同行者二人まで連れ込むことが可能だが上層とはいえ治安の良さは良いとは言えない。 「遠いですね。いつもはエレベーター二つなのに三つと徒歩となると治安でルート変更でしょうか」  建設で使われそうな簡易的なエレベーター。壁もなく必要最低限の落下防止しかないが機材を持ち込むことが多いため広い。しかし、何でも屋が職業の一環としている環境のせいか同業者の視線が痛い。各町に依頼を受けられる場所があり、そこから普段は受ける。しかし、早い者勝ちのため終わり間際を襲撃する事件や事故が多発。それに対して上層の貴族は何も言わず、争いが多いことから【若いうちに死ぬ】とラジオやテレビでは大きく取り上げられ、デモも起こっているとか。 「最近、同業者が何人も殺されてピリ付いてるんじゃない。此処にお兄さんとオレの他にもう一組いるわけだし」 「確かにライフルとかこちらが重装備だと視線が痛いのは仕方ないですよね。一応……仕事ですし」 「お兄さん、それ担いでよく奪われないね」 「生態認識。自分しか使えないように魔改造したんです。機械生命体が所持していた武器がそういう武器だったので有り難く技術を盗んだだけですよ。まぁ、壊れたのを自分が拾っただけなんですけどね」 「確かに“コア”も組み込んでるし、認識ありだとお兄さん以外は使えない。武器職人や商人とか騒がれそう。高額取引だ、とか言われながら」 「なるほど。そういう意味ですか」  リアムは遠回しなライナーの言葉に溜め息。二人は一斉に相乗りしている三人組を見る。 「武器が欲しいなら腕とか目とか切るか、抉り出すかしないと無理ですよ。このご時世の治安の悪さは人並み以上に知ってますから」  リアムの言葉にライナーが守るように立つや「アンタら少しボロボロじゃね? もしかして仕事帰りか」と金がなく汚れている服を着ているだけで着たくと思われる始末。 「あの……これから仕事なんですけど」 「嘘つくな。もう見てもボロボロじゃねーか!!」 「話しても無駄だよ。お兄さんは黙ってて。俺がやる」  エレベーター内での争い事にリアムは溜息を漏らしては鈍い音と苦しげな声に耳と目を逸らした。
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