痣(あざ)

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「あれ」  脱衣所で、自分の右足首より少し上のあたりが赤黒く変色しているのを見つけた。ぶつけた時に出来る内出血、いわゆる痣の様なものだった。    職場のフロアの狭くなっている所を無理に抜けようとして足やら腰やらをぶつける事がよくあった。恐らくこの痣もその時のものだろう。  ぶつけた時は痛いが、すぐ痛みもおさまるし、その場で服を脱いで確認できる訳では無いのでいつもぶつけた事そのものを忘れてしまっていた。  独身一人暮らし、彼氏無しの私は、他の誰かに気付いて貰える訳でもなく、脱衣所や風呂場なんかで痣を見つけては、 「あれ、何時ぶつけたっけ?」  と、なる事はよくあった。  この時も、そうだった。  そう思っていた。
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