痣（あざ）

　血液検査やエックス線撮影などの検査を行って、後日検査結果を聞く為に再び病院へ行った。

　だが、特に異常は無かったとのことだった。

「痛みとかはないんですよね？」
　先生が、私に訊いた。
　私は頷いて、最初の説明を繰り返す。
「最初は打った時の様な痛みがありましたが、今は特に痛みも何も無いです」
「少し、様子を見ましょうか。何かあったらまた病院来て下さい」
　先生がそう言って、私はその場では頷いた。

　だが帰宅途中も、帰宅してからも、私は痣の事が気になって仕様が無かった。

　他の病院でも見てもらった方が良いのだろうか。
　それとも田舎の病院では分からない事も都会の大病院で診てもらえば分かるのだろうか。
　そう思いつつ、痛みなどの症状も無いのに休みを取ってまで県外の病院に検査に行く事には気が引けた。
　お金も時間もかかる。大体、何処の病院ならよいのか。どうせなら先生から紹介状を貰った方が良いのではないか。でもそれも先生にケチをつける様で気が進まない。

　あれこれ悩んでいる間にも、痣はじわじわと這い上る様に広がっていた。色も最初より少し黒さが濃くなった気がする。