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1.
「そこはこの色が綺麗だよ?」
『そうかなぁ?
パパ、ともちゃんね、この色が好きだなぁ?』
娘の名前は智子4歳となり最近色について興味がありいつも眼を輝かしていた。
『パパ、どうして物にはいろいろな色が付いてるの?くまさんは黒、あ!白くまさんもいたか?
あと、消防車やポストはなぜ赤なの?
それなのに救急車は白と赤、パトカーは黒と白?
ねぇどうして?』
「そうだなぁ?
色を付けていると分かりやすくいでしょ?
消防車は火を消すために赤なの?ポストは目立つ様にと、火に強い色として赤なんだって?
あとね、色が無いと世界が綺麗じゃあ無くなるよねぇ?
全てが同じ色では面白く無いしねぇ…」
僕は娘の質問にしっかり答えられなかった。
『パパ、見てみて…
ママも上手だねって言ってくれたんだ!』
色彩に興味を持ち始めた娘がある日、保育園で描いた絵を帰宅時の僕に玄関まで来て自慢げに見せたのであった。
「ともちゃん、上手に描けたね…」
娘が自慢げに見せた絵は家族の絵で僕とかみさん、そして真ん中に挟まれて娘が描かれていた。
僕もかみさんも娘も手を挙げ微笑み背景は大きな向日葵がたくさん描かれていた。
『でもね、ともちゃんもっとハッキリした色がいいなぁって思っているの?
保育園は色鉛筆だけどなんか薄いんだよね?』
保育園での絵描きは色鉛筆で行っていた。
そんなある時…
『パパ、色鉛筆って薄くってつまんない?ともちゃんねもっと、もっとハッキリした色を付けたいの?』
娘は原色?色鉛筆では物足りないと感じ始めていた。
「そうか、色鉛筆ではものたりないか?」
どうしたものか?
僕は娘の要望を叶えるために…
「ともちゃん、色鉛筆では無い色がハッキリ描けるサインペンが良いかなぁ?」
『なあに?サインペンんて?』
そうかまた娘の質問が飛んできた。
「サインペンはインクが出てくるペンなんだよ…
だから軽く書くだけで色鉛筆より濃くハッキリ色がつくんだ」
『うん、なんと無く分かった』
そして、僕は娘に16色サインペンをプレゼントした。
すると娘はサインペンを使いいろいろな風景や人物、特に家族、僕とかみさんそして娘自身が中心となった絵を描いていた。
5歳になった娘の描く絵は色彩が鮮やかで市の展覧会にて金賞を取る腕前となっていた。
『パパありがとうサインペン、ともちゃんね、絵を描くの大好き!
パパ、ママいっぱい描いちゃうよ!』
そんな娘は僕とかみさんの誇りでもあった。
しかし娘はある時から色彩が無い世界に入り込んでしまった。
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