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今、咄嗟に
柳田くんに
香水のことを聞きそうになった。
そのことを
聞いて知ったとしても
私にメリットなんてひとつもないのにね……
「次はすっぽかさないでくださいよ?」
「もちろん約束する!今度こそ絶対に奢ってあげるから楽しみにしててね?」
いつから
私はこんなにも
臆病になったのだろうか……
別に今の私たちの関係性で
そこまで相手に気を使わなくてもいいのに
なんとなく
柳田くんの
涙の理由はわかってきた。
でも
もう少しだけ
気づかないままでいたいって思う私がいて
「おすすめは砂肝だよ」
「俺、肝とか無理」
「えー、美味しいのに。柳田くん、砂肝の美味しさを知らないなんて人生損してるよ」
「肝食べるくらいなら人生損したままでいいです」
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