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近くにある
使われていない会議室に入るなり
私の身体を
優しく包み込むように
自分の腕の中で抱きしめた柳田くん。
「……改めてそう言われると、なんだか色々恥ずかしいですね」
「事実でしょ」
「ええ、否定はしません。でも、片瀬さんに出会って、不思議と由美のことを考えることが減っていました。」
「ウソ……」
「本当です。何をしてても、忘れられなかったのに片瀬さんは一瞬で、俺の中から由美のことを忘れさせてくれました」
私は
何もしていない……
ただ
柳田くんのことが
知りたくて傍にいたくていただけで
「片瀬さん」
私の名前を
優しく呼びながら
まっすぐと
見つめる柳田くんの
視線と私の視線が近い距離で絡み合う。
「あの日俺に告白してくれましたよね?その気持ちに変化がないなら、俺と付き合ってくれますか?」
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