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「……お疲れ様」
「お疲れ様です。美穂さん、企画部に来たなら声かけてくれれば良かったのに」
「……ごめん、急いでて……」
今は顔を
見たくなくて
振り返る事なく
そう言えば違和感に気づいた
柳田くんは何も言わずに私の手に触れギュッと握った。
「……何か、ありましたか?」
「別に何もないよ……」
「じゃあ、俺のこと見てください」
「だから私、急いでるからそんなことしてる時間ないのっ!!」
握られた手を
思いっきり振り払った。
さっきの光景が
脳裏にこびりついて離れなくて
胸の奥がモヤモヤして苦しくてたまらない……
……わかってる。
この感情の
正体をちゃんと理解してるし
今更どうすることもできないことも
柳田くんが
悪くないことも
ちゃんと頭では
わかっていても気持ちがついていかなくて
今の私は
どう足掻いても
冷静ではいられそうにない……
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