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「"18時にロビーで待ち合わせ"でしたよね、片瀬さん」
「……」
「そう言った本人が、19時になってもいまだにロビーに現れず、どうして仕事してるんですかね?」
「す、すみません……」
パソコンに向かい
仕事をする私のことを
横からジロリと覗き込みながら
嫌味たっぷりでそう聞いてくる柳田くん。
仕事を終えて
帰ろうとした瞬間
後輩に仕事を頼まれて
どうしても断れなくて今に至る。
「……アホですね」
「し、しょうがないでしょ!その子、今日が彼氏との記念日だからって泣きつかれて、断りきれなかったの。」
「記念日ねぇ……」
「そりゃあ、自分から話し振っておきながらすっぽかしたのは私が100%悪いわ。ごめんなさい」
仕事の手を止め
柳田くんのことを見て謝る。
たしかに
どんな理由があっても
約束をすっぽかしていい理由にはならない。
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