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「……私ね、あの日初めて柳田くんに会った日、寝ながら泣いてた柳田くんの涙の理由が気になったの」
「泣いてました、俺?」
「うん、泣いてた。寝てるのに、あまりにも整った顔してたから見惚れてしばらく見てたの。そしたらね、一筋の涙が流れたの」
「聞けば聞くほど、女々しい男ですね、俺」
「そんなことないよ」
むしろ
夢の中でも
相手のことを想って
涙を流すほどに人を愛すことができて
そういう人に出会えた柳田くんがほんの少しだけ羨ましかった。
私はまだ
そういう恋もしたことないし
そういう人にも出会ったことがなかったから……
「柳田くんは今、幸せ?」
「おかげさまで、美穂さんが隣にいてくれるから幸せです。」
「……良かった。」
「美穂さんは、今、幸せですか?」
「……うん、幸せだよ。柳田くんが隣にいてくれるから、すごく幸せだよ」
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