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「いつでも来てください」
「え?」
「俺の悪い癖で、仕事に集中すると他のことが見えなくなるんです。もちろん、気をつけます。美穂さんに悲しい思いをさせないよう努力します。でも、念のために渡しておきます」
「……」
「俺に会いたくなったら、この鍵を使って遠慮なく会いに来てください。さっきも言いましたが俺に会うのに理由なんていりません。」
これは夢……?
そう思ってしまうほどに
私にとって都合のいいように話が進んでいき
手のひらの
鍵をギュッと握れば
ひんやりとした感触を感じて
これは夢ではなく現実なんだと教えてくれた。
「部屋に呼びたいって思ったのも、合鍵を渡したいって思ったのも、美穂さんが初めてです」
もう、ダメだ……
ずっと
我慢していた
涙が限界を超え一気に溢れ出た。
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