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袋の中身
「ありがと〜ん!」
紙袋を店長に渡し、仕事を終えた私は帰路についていた。
(んー、思い出せない。今日ぶつかった子…。)
その時、ビルの看板に大きな写真で今日ぶつかった子の写真が貼ってある。
(あー!思い出した!
最近ドラマで主演して人気出てた、
黒井蓮也くんだ!!
はー!イケメン!!)
黒井蓮也は27歳ののんびり系イケメンとして
癒やしを求める世代に絶大な人気を誇っていた。
思い出してスッキリしたと同時に、
今日会えてラッキーだったなと思った。
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リサが帰路についてるころ…。
カランカランカラン…
「いらっしゃぁ〜い、あら?」
店長がびっくりした顔をして、
そしてリサに頼んでいた紙袋から出して眺めていた物と見比べる。
「あ、ども、席、空いてますか?
あれ?それ…俺?」
店長が手にしていた物は黒井蓮也グッズの1つ。
アクスタ(アクリルスタンド)だった。
そう、紙袋にはスタッフ(店長の従兄弟)に頼んでいたグッズがたくさん入っていたのだった。
「あれ?グッズ渡ったの、お姉さんじゃなかったんですか?」
蓮也が店長に尋ねると、
「あ、あぁ!うちのアルバイトの子に私が頼んだの!今日はもう帰っちゃったけど。」
店長はしどろもどろになりながらも答える。
「そうなんですね〜、じゃあ、また、来ます。」
そう言って蓮也はカフェを後にした。
「え…?もう…?ちょ、早くない…?何…?え…?」
店長は嵐のごとく去ってった蓮也(推し)に
始終しどろもどろしていたと、阿部さんに後日聞いた。
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